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真に愛国心と平和を求める新たなリーダーが必要02

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真に愛国心と平和を求める新たなリーダーが必要

 鳩山政権を消そうと考えていた財務省

   鳩山政権が誕生する5ヶ月前、2009年5月に小沢さんが「西松建設」問題で代表を退き、代表選が行なわれました。民主党内で小沢さんを引きずり降ろした勢力は岡田さんを支持し、メディアも岡田支持一色でしたが、鳩山さんになります。そして代表選挙を通じて、鳩山さんが増税を封印されたことは、その後の財務省にとって極めて大きな悩みのタネになったと思われます。

   2009年8月の総選挙では、消費税は大きな争点の一つになりました。
   消費税増税を主張する麻生自民党政権と、「増税の前にやることがある」と消費増税に反対する鳩山民主党が対立したわけです。そして麻生自民党が増税の根拠にしたのが、同年3月に成立した所得税法104条でしたが、民主党は当然この法案には反対していました。鳩山政権は4年間は増税しないという方針だったのですから、本来は政権発足後速やかに、この「所得税法附則104条」の凍結法案を可決しておくべきだったのですが、財務省はこのことを十分知っていながら、サボタージュすることにより、鳩山政権にそのような措置を取らせなかったわけです。私の見立てでは、財務省はこの附則104条を消すのではなく、鳩山政権を消そうと狙っていたのではないかと思います。

   附則104条を温存しておいて鳩山政権崩壊後、菅政権は、政権が樹立したとたんに消費税を言い出し、野田さんも藤井裕久さん(元財務大臣)も、法治国家だから附則104条を遵守するのは当然だといって、附則104条を消費税増税の錦の御旗にして、増税を正当化していったところがあります。

鳩山   財務省の官僚や秘書官から、凍結法案を作るべきだというような話が出て来るはずもなく、私が要らないのではないかと言った時も、「附則だから残しておいても大丈夫だ」として済まされ、ごまかされてしまった感じでした。こういうことがサボタージュの実態なのだと思いますが、こちらの甘さを反省しています。・・・。

植草   「天下り」についてですが、岡田克也副首相は「民主党のマニフェストでは天下りの斡旋(あっせん)の禁止を決めているのであって、斡旋のない天下りは天下りではない」、「じゃあ公務員のOBは再就職してはいけないのか、そこまで禁止すると、保障されている職業選択の自由に反する」と言っています。これは「3・11の原発事故があったのに、経産省OBが依然として電力会社に天下りを続けているのを容認するのか」という質問に答えたものですが、経産省からはいまでも、各電力会社の指定席ポストに一人ずつ天下っており、だいたい副社長にまで上がってゆくという実態があります。

   財務省からは、損保協会の専務理事に代々天下っていますが、これも形式的には斡旋がないことになっています。残念ながら民主党の姿勢は政権獲得後に、大幅に後退してしまったといわざるを得ません。

鳩山   岡田君がそういう答弁をしたという話を今聞きましたが、しかし植草さんがいま言われたケースはどう考えても天下りですね。我々は天下りを斡旋することは止めましたが、それ以外のケースでは天下りは依然残っていると見るのが正しいようです。ですから利害関係のないところ以外は退職後5年は再就職できなくするなど、さらに何らかの対策を考えてゆかなければならないと思っています。

植草   天下りと消費税についてですが、野田政権が消費増税を進める中で、非常に巧妙なすり替えが行なわれたと思います。当初は、天下りとわたりを根絶していわゆるシロアリ退治に取り組み、それをしっかりやったうえで消費増税をお願いするということだったのですが、いつの間にか話が変わってしまい、身を切る改革であるはずの中身が、天下り・わたりの根絶ではなく、公務員総人件費の削減、議員定数の削減という話にすり替わってしまったのです。これは天下りに対する官僚の抵抗がいかに凄まじいかということだと思いますが、野田政権では天下りの話はほぼ消えてなくなってしまいました。

   消費税増税をすることが正しいか誤りかについては議論があるとしても、世間では財務省の消費税に賭ける姿勢を、「少なくとも国民生活のために財政再建を考えてくれている」といった期待をこめた幻想が強いのですが、実は財務省の本音は自らの省益拡大を中心に動いているのが実態です。もしも財務省が本当に国益を考えて国家のために財政再建をするというのなら、率先して、自らの省益である天下りをやめるべきだと思います。

   財務省の天下り先は多岐にわたりますが、その象徴的な大きいところだけを挙げてみると、日銀総裁、かつての東京証券取引所理事長とこの2つが両横綱で、政策投資銀行、国際協力銀行、政策金融公庫の御三家、それ以外には日本たばこ産業、横浜銀行、西日本シティ銀行などの民間企業の指定席ポストなどがあります。日本が危機的であるというなら、まずこれらの天下りを止めるべきなのです。

鳩山   天下り根絶が、議員定数削減と公務員の総人件費の削減にすり替えられたという話はその通りです。いま、財務省の指定ポストを挙げられましたが、政権が財務省主導で動いている間は、止めることはできないでしょう。

 日本はまだ独立した国ではない

植草   
鳩山さんは現役政権時代の最後に、自分のよって立つ基盤は保守リベラルであるとおっしゃっていました。・・・。今後も何らかの形で、保守リベラルの流れを作ってゆくことのお手伝いをしてゆきたいということですが、保守であり、なおかつリベラルであるというのはどういうイメージなのでしょうか?

鳩山   いま、いわゆる保守と呼ばれる勢力が、対米従属的な保守に成り下がってしまっている中で、この国を米国から自立させてゆくべきだと考えるのが本来の保守であると考えます。そして国民一人一人を大切なものと考える政治、特に弱い立場にある人々と共生し自立する社会、それを私は友愛の政治と呼んでおり、それをリベラルと考えています。それを合わせて保守リベラルと呼んでいるのですが、こういった考え方がいまの日本の政治の中から、ポッカリと抜け落ちているように感じています。

植草   いわゆる旧体制の、米・官・業が一体になった保守ではないということですね。

鳩山   もちろん、守旧派の保守ではありません。
   時計の針はだいぶ、元の(旧体制へ)戻ってしまいましたが、2009年の選挙で多くの国民の期待を受けて政権交代した時の民主党代表が、私であったという事実は大きいと思っています。いまある種の清新さというか、政治に対しては素人(しろうと)でも、保守リベラルの真っ直ぐな志を持った人たちが、挑戦してゆく姿が求められていると思います。

植草   国民の側からより高い意識を持った集団が生まれることも大事ですし、その中から新しいリーダーが登場する必要もあると思いますが、今はまだ2009年の思いが実現していない中で、鳩山さんの深いご経験を活かしていただくことも非常に重要だと感じています。

鳩山   私もあらゆる意味で努力していきたいと思っています。
     孫崎さんも植草さんももう怖いものがないようですが、私もそろそろ怖いものがなくなっていますから。今のお話をずっと通して見てゆくと、私や小沢さんを含む政治と金の問題や領土問題、消費増税、TPP、原発再稼動、オスプレイと基地など、すべての問題にアメリカの陰が見え隠れしている中で、日本を本当の意味で独立国にしたいというのが、孫崎さんや植草さんのお考えであるし、私の考えでもあるわけです。やはり日本はまだ独立国にはなっていません。

   私は米国が悪いなどと言っているわけではなく、米国には米国の国益があり国家意思があるのは当然のことなので、それに対してきちっと自分の意見を述べ、米国を説得できるような、そういう尊厳のある日本につくり上げてゆかなければならないと考えています。保守で強いことを言っている人間ほど、米国に依存しているわけです。ですから結局、日米同盟が大事という主張に留まることしかできない保守のあり方を、根本的なところから見直そうと考えたのですが、私の場合それをやろうとして失敗してしまった。

   菅さんや野田さんは私の失敗を反面教師と見て、逆に米国追従のズブズブの関係を作ってしまった。さらに日本が未だ独立国になってはいないというこの状況を、国民に目覚めさせる役割を担っているはずのすべてのメディアもまた逆の方向を向いており、国民が何も知らず目覚めないように仕向けているとしか思えないところがあります。ですからどういう手段で日本の独立というものを実現してゆくかと言えば、やはりしっかりした旗を掲げ、国民総参加というような形を作ってゆかないと、菅さんや野田さんのように、実に簡単に後戻りしてしまうように思います。

植草   孫崎さんの著書『戦後史の正体』(創元社)の中に、米軍の終戦処理費(米軍駐留経費)を削ろうとして公職追放になった石橋湛山大蔵大臣の話が出てきます。その時、石橋湛山が言った言葉が大変印象深く残っています。

   「後に続いてくる大臣がおれと同じ態度を取ることだな。その彼もまた追放になるかもしれないが、それを2回、3回と続ければ、GHQも態度を改めてくるかもしれない」

   鳩山さんは潰されましたが、やはりその後に続く者たちのためにも、鳩山さんの経験は生かされるべきだと思います。日米同盟基軸という名の対米従属政策を唱える人たちが中心の霞ヶ関や永田町から見れば、イランを訪問するという話を自ら米国大使館に持ち込んで、2度も強硬に反対されてもなおもイランに行くという鳩山さんの行動力と度胸は驚嘆に値すると思います。いまもさまざまなメディアの攻撃にさらされていると思いますが、ここでさらに一歩を踏み出すことで、国民全体の動きにつなげてゆくことができると思うので、どのような形にせよ、ぜひ鳩山さんには現実の政治の場に戻っていただき、活動していただきたいと思っております。



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